「電子カルテを入れたのに、結局スタッフが使わない」「気づけば紙の診療メモに戻っていた」—— 動物病院のシステム導入で、もっとも多く、もっとも惜しい失敗です。 私たちはFileMakerによる業務システム開発とIT顧問の現場で、この「使われないカルテ」を数多く見てきました。 原因はカルテ製品の性能ではありません。汎用品が、あなたの病院の診療に合わせて作られていないことにあります。
INTRODUCTIONその光景、心当たりはありませんか
診察の合間に、結局ホワイトボードと紙のメモを見ている。 専門的な検査の所見を書く欄がなく、毎回「備考」に押し込んでいる。 入力に手間がかかるので、忙しい日はカルテが後回しになる。
こうした状態は「スタッフのITリテラシーが低いから」起きるのではありません。 私たちが医療機器商社、会計事務所、そして専門性の高い動物病院まで、さまざまな現場を見てきて確信しているのは、 使われないカルテには、使われないだけの構造的な理由があるということです。
REASONS汎用の電子カルテが現場に合わない4つの理由
「動物病院向け」でも、あなたの診療まで作り込まれてはいない
汎用カルテは「多くの病院に広く使ってもらう」前提で作られています。裏を返せば、どの病院にも“そこそこ”合うが、どの病院にも“ぴったり”は合わないという宿命を抱えています。専門診療や独自の運用があるほど、この差は大きくなります。
入力の順番が、実際の診察の流れと合っていない
画面の入力順と、目の前の診察のリズムが噛み合わないと、操作が毎回ストレスになります。1日に何十件も触れるツールだからこそ、この小さなズレが診療時間と集中力を確実に削っていきます。
専門的な検査・処置・経過を記録する場所がない
標準的な診察しか想定していないカルテは、専門的な所見や例外的な処置が発生した瞬間に、「備考欄に手入力」「別紙で管理」が始まります。そこから二重管理が常態化します。
「ここを変えたい」がベンダー任せで、すぐ直らない・高くつく
現場の改善要望を出しても、反映は数ヶ月先、見積は高額——。これが続くと、現場は「言っても変わらない」と諦め、カルテはますます使われなくなります。
では、どうすればいいのか
1. カルテを選ぶ前に、自院の診療フローを書き出す
誰が・いつ・何を・どの順番で記録するのか。現状の流れを書き出し、ムダな転記や二重入力を特定してから、初めて「何をカルテ化すべきか」が見えてきます。ここを省くと、ほぼ確実に手戻りします。
2. 「動く試作」で確かめてから決める
ある専門性の高い動物医療の現場でも、市販の電子カルテが軒並み合わず導入が進みませんでした。そこで実際の診察の流れに沿った試作品を素早くお見せしたところ、「これが良い」とその場で採用が決まりました。ポイントは、説明ではなく動く実物で判断できたことです。
3. 小さく始めて、現場に合わせて育てる
全部を一度に置き換えず、もっとも痛みの大きい記録から始めます。FileMakerのような柔軟な基盤を使う最大の理由は、運用しながら画面や帳票を診療の変化に合わせて調整できること。これはパッケージ製品にはない決定的な強みです。クラウドで安全に運用すれば、院内外からのアクセスもバックアップも仕組み化できます。
4. データ容量と保守の体制まで、最初に決める
画像やPDFを多く添付する運用では、保存容量が将来必ず膨らみます。増える前提で圧縮や外部保存を計画し、困ったときに相談できる継続的な窓口(IT顧問)を確保しておくこと。ここまで含めて伴走できる相手を選べば、内製・カスタムは非常に強い選択肢になります。
CHECKLISTそのカルテ、合っていますか? 5つのチェック
- 同じ情報を、カルテと紙・Excelに二重で記録している
- 使わない機能の方が、画面に多い
- 専門的な記録を「備考欄」や別紙に押し込んでいる
- 「ここを変えたい」が何ヶ月も放置されている
- 画像添付が増えているが、容量の見通しを誰も把握していない
2つ以上当てはまるなら、カルテそのものを入れ替える前に、 診療フローとカルテのズレを点検することをおすすめします。 多くの場合、作り直しではなく「合わせる(調整)」で解決できます。
PROP UP合同会社は、FileMakerによる業務システム開発と、
中小企業・専門クリニックのためのIT顧問サービスを提供しています。
「入れたのに使われない」を、現場に定着する仕組みに変えるお手伝いをします。

